企業とは、ややもすると経済面だけを重要視した考え方で見がちですが、それ以外に道徳的、倫理的な責任が伴なわなければいけないと思います。従来、企業は資本主義の名のもとに、ただひたすらに利益を追求し、自由競争によって競争相手を押し退け、各々の組織の発展のみを願うという傾向が強かった訳ですが、それによって得られた満足は、多くの場合、決して心の奥底からこみ上げる様な、しかも安堵感を伴った部類の満足ではなかった筈。又、そうでなければ資本主義戦国時代を勝ち残る事は出来なかった訳でしょう。しかし、バブル崩壊が教えてくれたように、我々は、今一度冷静になって何の為に会社を経営してゆくのか、何の為に利益を追求して行くのかをしっかりと考える時期に来ている筈です。
これからの企業としての方向性は、第一に、昨今様々な企業が、もうすでにクリエイトしトライしている「顧客満足」というものを、より精度の高いものに持ってゆくことです。流通業で行われている極度の価格破壊も一面で見れば、安いものを供給しているし、家計にも役に立っている訳で、マクロ的な副作用を懸念しなければ、立派な「顧客満足」の追求ですし、物欲を満たすと言う役割でいえば確かに大きく社会に貢献していると思います。「顧客満足」は、相手の心の奥底から感動を促し本来個々人が独自に持ち得ている心のニーズを目覚めさせる(感動させる)為の呼び水を、芸術・文化等の事業を通じて注いでいく必要があります。
そして、一人でも多くの方々が、「生き甲斐」に目覚め、「絵画的」な心を持った人々が一人でも多くなれば、肉厚で立体的な本当に面白い社会が出来ると確信します。
事業は、第一に世の中の為になる事です。第二に、このような社会の演出に一助となるためには、「顧客満足」を実現させるべく「そこで働く人の人間性」が無ければ一歩も進まないと言うことです。優れた感性と芸術性は、より多くの人々の目に触れ、表現出来る「場」を持つことによってより一層の価値を生むものであると信じます。その訳は、人々の心に潤いを与える使命があるからです。
企業は人の集団。「人」の価値観を大切にし、仕事を通じ関わる人達が成長し、新しい出会いをつくり、人の気持ちを考え、気持ちに応える事が必要です。
中部総合研究所は社会との共生を積極的に活動に表してゆくことで、少しでも、一人一人の暮らしと社会が明るく、楽しくなるよう努めます。
中部総合研究所
理事長 藤 原 歳 久